幼児の受け口治療法と治療の流れ、適応年齢や期間、症例についてご案内します

就寝中に装着するだけで受け口を改善
型取りをせずに始められる「マウスピース型」治療方法。反対咬合(受け口)と診断された場合の早期初期治療に使用します。
上顎を成長させて、舌圧と上唇圧のバランスを正常に整え、舌の位置を保つトレーニングができます。
ぽかんと口が開く状態を矯正し、口唇閉鎖ができるように導きます。
症例によって、床矯正治療との併用もできます。
痛み
無
ほとんど痛みません。まれに装着時に少し痛みを感じることがあります
抜歯の可能性
無
上顎の成長と共に矯正を行う治療のため歯を抜くことはほとんどありません
取り外し
可能
ご本人、または家族による取り外しができます
適応年齢
4~5歳
永久歯が生える前までが目安です
1日の装着時間
就寝時のみ
目安として8~10時間程度
治療期間の目安
約1年
治療後半年~1年間はリテーナー(保定装置)装着が必要
※使用する装置によって多少異なります
幼児の受け口治療の特長
- 1.歯を抜かずに矯正ができる
- 2.4~5歳から始められます
- 3.痛みがほとんどない
- 4.睡眠時に使用するだけで治療ができる
- 5.型取り不要なので始めやすい
- 6.自分で取り外せる
使用する装置・症例
ムーシールド
ムーシールドの特徴

- •早期初期治療(型取り不要)
- •被蓋の改善
- •舌圧と口唇圧のバランス改善(上顎骨を成長させる)
- •舌を高位に保つ機能(舌挙上トレーニング)
- •口唇閉鎖を促す
- •就寝時のみ、約1年間使用、月1回調整
- •永久歯萌出前まで(4~6歳)
- •パナシールド、プレオルソ、アイスリーより耐久性がある
パナシールドやムーシールドなどの第0期矯正の基本料金は、¥44,000(税込)です。
再診観察料:¥2,200~3,300(税込)。
第一期治療(床矯正や3D矯正など)へ移行する場合は、精密検査が必要になります。
ムーシールドを使った受け口治療
- 年齢
- 4歳
- 症例
- 受け口(反対咬合)
- 期間
- 6ヶ月※以後経過観察
- 費用
- ¥44,000(税込)
- 注意事項
- 痛みがでることがあります。※あくまでも個人の症例です。全ての方に同じ治療の効果があるとはかぎりません。
-
4歳5ヶ月(治療前の受け口)
上の前歯4本と下の前歯6本の咬み合わせが反対になっています。自然に治る可能性はほとんどありません。
-
ムーシールド装着状態
ムーシールドを口の中にいれて、舌を上げるとタングガイドのくぼみの上に舌がのります。この状態で口を閉じます。つばを飲み込むたびにオトガイ部の筋肉が緊張して舌が挙上されて上あごが前に押され、上あごが成長します。
-
4歳11ヶ月(治療開始から6ヵ月後)
就寝時のみ6ヶ月間ムーシールドを使用して、受け口が改善されました。さらに6ヶ月間ムーシールドを使用して経過観察します。
パナシールド・パナシールドプラス
パナシールド・パナシールドプラスの特徴

- •他の矯正装置(床矯正装置、リンガルアーチなど)との併用が可能
- •軟性材料で作られているので、大きさの調整が簡単にできる
- •ムーシールドよりも舌を高い位置に保ちます
- •オトガイ舌筋を緊張させ下顎を後退させます
- •パナシールドは軟性素材のため口輪筋を活性化
- •パナシールドプラスは、第二乳臼歯相当部が他の部分よりも厚くなっています
- •アイスリー(i-3)よりも耐久性に優れている
パナシールドを使った受け口治療
- 年齢
- 3歳~4歳
- 症例
- 受け口(反対咬合)
- 期間
- 8ヶ月
- 費用
- ¥44,000(税込)
- 注意事項
- 痛みがでることがあります。※あくまでも個人の症例です。全ての方に同じ治療の効果があるとはかぎりません。
3歳10ヶ月(治療前の受け口)

4歳6ヶ月(治療開始から8ヶ月後)


前歯6本が反対咬合になっています。
ムーシールドを試したところサイズが合わず痛みが大きかったのでパナシールド(S)をサイズ調整して装着しました。
6ヶ月後には受け口が改善しました。
アイスリー(i-3)
アイスリー(i-3)の特徴

- •上顎と下顎の両方から受け口治療にアプローチ
- •ムーシールドやパナシールドと同様に舌の挙上を促します
- •i-3は軟性素材のため口輪筋を活性化
アイスリー(i-3)を使った受け口治療
- 年齢
- 4歳~5歳
- 症例
- 受け口(反対咬合)
- 期間
- 1ヶ月
- 費用
- ¥44,000(税込)
- 注意事項
- 痛みがでることがあります。※あくまでも個人の症例です。全ての方に同じ治療の効果があるとはかぎりません。
4歳1ヶ月(治療前の受け口)

5歳0ヶ月(治療開始から11ヶ月後)


他院でムーシールドで治療を開始しましたが痛みが大きく治療を中断し、当院に相談に来られました。
アイスリーを試したところ痛みがありませんでした。装着後11ヶ月で前歯部の被蓋が改善されました。痛みもなく治療を終了しました。
プレオルソIII
プレオルソIIIの特徴

- •歯型を取る必要がない
- •歯を直接動かさない
- •歯並びが悪くなるのを予防
- •口の周りの筋肉を整えて間接的に歯並びを矯正
- •口呼吸から鼻呼吸へ促す
- •舌のトレーニングによる正しい飲み込みや発音を促す
- •永久歯に生え変わる前に使うと効果が高い
プレオルソIIIを使った受け口治療
- 年齢
- 5歳
- 期間
- 3ヶ月
- 費用
- ¥44,000(税込)
- 注意事項
- 痛みがでることがあります。※あくまでも個人の症例です。全ての方に同じ治療の効果があるとはかぎりません。
5歳11ヶ月(治療前の受け口)

6歳2ヶ月(治療開始から3ヶ月後)


母親が子供の頃受け口の治療をした経験があり、フェイスマスクやチンキャップなどの目立つ装置以外での治療を希望されました。今回はプレオルソⅢを使用しました。
3ヶ月であっという間に正常咬合になりました。
幼児の受け口(反対咬合)の症例:ムーシールドと床矯正
- 年齢
- 4歳~5歳(ムーシールド)8歳(床矯正)
- 期間
- 1年4ヶ月
- 費用
- ¥440,000(税込)
- 注意事項
- 痛みがでることがあります。※あくまでも個人の症例です。全ての方に同じ治療の効果があるとはかぎりません。
治療前(受け口 4歳)

ムーシールド使用1年後(5歳)

永久歯が生えてきてまた反対咬合になった 床矯正開始(8歳)

4ヶ月後 床矯正終了


乳歯列の時期(4歳)に、ムーシールドで反対咬合の治療をして正常咬合になり一旦治療を終了。その後、前歯が永久歯に生え変わったときに再度反対咬合(受け口)になった症例。上顎の拡大を行いながら上顎の前歯を前方に押し出すタイプの床矯正装置を使用しました。約4ヶ月間、床矯正装置を使用して反対咬合が改善しました。
もし、4歳のときに受け口治療をしていなければこのように簡単に治すことはできなかったと思われます。乳歯列のときに一度受け口を改善していたので、小学生になってからの床矯正による受け口治療が非常に短期間で成果をあげることができたと考えられます。乳歯列のときに前歯部の反対咬合を改善して、その後経過観察をする。永久歯が生えてきて再度反対咬合になった場合には、すぐに次の段階の治療をするという方法が今後の主流になっていくものと考えられます。
ご家族や、お子様の身近な方にご協力いただきたいこと
毎日きちんと装着できているのか"しっかり"確認
取り外しができる装置のため、決められた時間はしっかりと装着していないと治療が進みません。お子様自身では管理できないので、身近な方が決められた時間に着脱し、週2回のネジ回しを忘れずに行うよう管理をお願いします。
小児矯正の場合は、ご本人より身近な方が治療に参加し見守っていく意識をきちんと持っているかどうかが成功の要といえます。虫歯などの治療に比べて、通院期間は長くなります。いやがるのを叱りながら「矯正させる」のではなく、好きなキャラクターなど、お子様がやる気をだしてくれそうなイメージや目標を想像させて、治療をサポートしていただければと思います。

最初のうちは、いやがったり、寝ている間に外してしまうことがあります。1ヶ月程度で、装着したまま就寝できるようになります。
最初のうちは根気よく装着するように促してください。
幼児の受け口治療が向いていないケース
- 永久歯が生えてしまうと治療ができない
- 装置を入れる充分な時間が取れない
- 本人に治す意志がない(目を離すと外してしまうなど)
- ご家族の理解(協力)が得られない
- 極度の鼻炎のため鼻呼吸がほとんどできない
※症状により将来的にワイヤー矯正が必要になるケースもあります。

3歳児検診で、「様子を見ましょう」といわれた
ご家族のみなさまへ
反対咬合(下顎前突、受け口)とは、下顎の歯が上顎の歯よりも前に出ている状態で、前歯でうどんやそばなどを噛み切れない状態の噛み合わせのことをいいます。
3歳児健診で全体の4~5%の子供達に反対咬合が見られます。3歳児健診で反対咬合を指摘されてから近所のかかりつけ歯科医院に相談に行くと、『今は乳歯列の段階です。年齢的にも矯正装置をつけることができないので、前歯が生え変わる6歳ころまでは様子をみましょう。』といわれ、反対咬合のまま数年間経過観察をしているだけで、とくに何もしないケースがほとんどのようです。
受け口の自然治癒は0~5%!?
3歳から6歳頃にかけては、上顎骨が成長し顔立ちがどんどん変わる時期です。反対咬合の場合、前歯を使って食事をするということができません。
前歯に力がかからないのでその周りの筋肉が発達せず、骨が成長しません。鼻の下がくぼんだようになり、横から見ると三日月の形をした顔貌になってしまいます。反対咬合が自然に治る可能性は5%程度(遺伝性がある場合はほぼ0%)。そのままにしておいて本当に大丈夫なのでしょうか?
受け口の治療方法
これまでの受け口の矯正は“チンキャップ法”といって、頭にベルトを巻き、下顎の先を押さえ、下顎の成長を抑制する治療方法でした。本人の物理的、精神的負担が大きい上に、チンキャップを外すと、再度反対咬合になる確率が高く、顎が痛くなる顎関節症を発症する例もたくさんありました。
プレオルソIIIやムーシールドで約9割が受け口改善
そこで最近注目されているのが、無色透明のマウスピースタイプの「プレオルソIII」や「ムーシールド」による治療方法です。プレオルソIIIやムーシールドの構造はシンプルで、装着は寝ている間だけで、痛みもほとんどありません。慣れないうちは、就寝中に口から投げ出していたりしますが、1ヶ月もすれば朝まで口の中に装着できるようになります。
4~5歳児からの受け口治療
毎晩、頑張ってプレオルソIIIやムーシールドを使用すれば6ヶ月~1年くらいで効果が表れ、約9割で改善がみられます。とくに遺伝性のない症例では、3~4ヶ月で反対咬合が改善してくることがよくあります。対象年齢は3~6歳くらいです。
お子様の一生の顔の形に影響を与えます
子供の歯並びは、一生の顔の形にかかわる大切な問題です。反対咬合の場合、前歯を使わないので上顎骨の発育不全が起こります。その結果、鼻の下がくぼんで貧相な顔つきになります。このままの状態で体が大きくなっても上顎は発育しません。顔貌に大きく影響します。反対咬合の治療は、できるかぎり早い時期に開始しましょう。歯並びが悪いと気づいたときが治療開始のタイミングです。
小児矯正に関する
皆様からのお問い合わせをまとめました
受け口は、ほとんど自然治癒しません。骨が成長段階の状態で、永久歯が生える前の期間であれば、短期間で治療ができることが多い症例です。
子供の容姿(顔の骨格)にも影響を与える前にご相談ください。