可愛いお子さんの歯並びは、親御さんの心配ごとのひとつです。歯並びの悪さや出っ歯、受け口などの不正咬合の原因は色々ありますが、その中のひとつに『口呼吸』」があります。呼吸は本来鼻で行いますが、口で呼吸を行ってしまう口呼吸は、出っ歯を引き起こす可能性がある「悪癖」なのです。

 

・子どもに多い「お口ポカン」

小さな子どもによく見られるのが、お口がポカンと開いている「ポカン口」です。お口が開いてしまう理由として考えられる原因をまず挙げてみましょう。

 

・鼻の奥のアデノイドという部分が大きい

・アレルギー性鼻炎や花粉症など、慢性的な鼻詰まり

・口周りの筋肉が弱いため、唇が閉じにくい

・出っ歯が原因で唇が閉じにくい

 

鼻から喉の奥の辺りにある「アデノイド」という器官が大きい「アデノイド肥大」になると、鼻の空気の通りが狭くなるため鼻で呼吸し辛くなります。そのためお口で呼吸をする口呼吸の原因になります。

またアレルギー性鼻炎や花粉症のシーズンや慢性鼻炎も鼻が詰まりやすく、どうしても口で呼吸を行ってしまいます。このように、鼻に原因があることが、口呼吸の原因のひとつです。

いっぽう小さなお子さんはまだ筋肉が未発達です。そのため口周りの筋肉が弱く、口をしっかりとじることが難しい場合も口呼吸を誘発します。

そして骨格や遺伝などが原因の出っ歯は唇が閉じにくく、自然と口が開いてしまいがちになり、口呼吸になってしまいます。

このようなことが子どもの口呼吸になる主な原因と考えられています。

 

・なぜ口呼吸が出っ歯の原因になるの?

口呼吸が歯並び、特に出っ歯に影響する原因は「舌の位置」です。舌は口を閉じているときに、上顎の「舌スポット」という少し窪んだ辺りに収まっています。

ところがお口が常に開いていると、舌が本来の舌スポットの位置ではなく、下方に収まってしまいます。舌が上顎についていると上顎が押されて顎が広がり、歯が正しい位置に並びやすくなります。しかしお口が開いて舌が正しい位置に収まっていない場合、上顎が発達せず広がりません。その結果、歯が並ぶスペースが不足して出っ歯になったり、歯並びが乱れてしまうのです。

 

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また口呼吸は歯並びの乱れだけでなく、虫歯や歯肉炎などのトラブルも引き起こしてしまいます。お口の中は常に唾液で潤っていますが、口呼吸はお口の中の乾燥を招きます。お口の中には虫歯菌などの雑菌がとてもたくさん棲みついています。唾液はこのような細菌を洗い流し、増殖を防ぐ働きがあります。しかし唾液が少なくなると細菌が増え、虫歯や歯肉炎などの原因となってしまうのです。

口呼吸は、お口の中の健康や歯並びにとって良いことは何ひとつありません。お子さん自身が気づいて悪癖を治して鼻呼吸を行うために、お口が開いていたら保護者の方が声かけしてあげましょう。また鼻に原因がある場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診することもお勧めします。

なお指しゃぶりは出っ歯の原因になり、その結果口呼吸を誘発してしまいます。

 

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・歯並びの乱れを治して、鼻で呼吸しましょう

出っ歯や歯並びが乱れていることでつい口呼吸を行ってしまう場合は、原因の根本的解決は難しいでしょう。歯列矯正を行い、歯並びや噛み合わせを正常にすることで鼻呼吸が行いやすくなる場合があります。お子さんの歯並びの乱れや噛み合わせに問題がある場合、早めに歯科医院を受診するようにして下さい。