乳歯は永久歯が生えてくることで短い役目を終えることになります。乳歯は永久歯と比べるとむし歯になりやすいのですが、乳歯は寿命が短く、抜け落ちることからそれほど深刻に考えない方がほとんどです。

 

しかし乳歯のむし歯は進行が早く、状態によって自然に抜けるのを待たずに抜歯になってしまうこともあります。これが永久歯の歯並びに影響し、歯並びが乱れてしまうことがあるのです。

 

乳歯の役割とは?

乳歯は上下合わせて20本生えてきます。乳歯は永久歯が生えてくるまでの短い期間ですが、とても大切な役割を持っています。乳歯は次のような役割があります。

 

・食べ物を噛む

・正しい発音へと導く

・顎の発達を促す

・永久歯の歯列を導く

 

 

進行が速い乳歯のむし歯

 

乳歯は永久歯と比べるとエナメル質が薄く歯質が弱いため、むし歯になるとあっという間に症状が進行してしまいます。早期のむし歯なら症状が悪化する前に治すことができますが、神経まで症状が進んでしまった場合、治療を繰り返しても良い結果を得られないことがあります。症状によっては抜歯をしなくてはいけないこともあり、お子さんにも負担がかかります。

 

また小さなお子さんの場合、一本むし歯ができると次から次へと新たなむし歯ができる傾向があります。それほど乳歯は酸に弱いということがおわかりいただけると思います。

 

乳歯を早期に失うと?

 

ご存じのとおり、乳歯は永久歯が生えることでその役目を終えます。しかしどうせ乳歯は抜けるから、と軽視していると、お子さんの将来のお口の健康に深刻な影響を与えてしまうかもしれません。

 

乳歯はただ永久歯が生えるまでの歯、ではありません。乳歯は永久歯が生えるための歯列の確保という、とても大切な役目を持っています。ところがひどいむし歯などで早期に乳歯を失うと、両隣の乳歯が倒れてきて、永久歯が生えるスペースが狭くなります。スペースを失った永久歯は正しい場所に並ぶことができず、歯列から大きくはみ出した位置に生えざるを得なくなってしまい、ガタガタの歯並びになってしまうのです。

 

個人差はありますが、乳歯は抜ける時期がほぼ決まっています。歯ぐきの中で永久歯が少しずつ成長し、押し上げてくることで自然と抜け落ちるのが本来の流れです。生えてきた永久歯の位置が多少ズレていても、成長とともに正しい位置に並んできますのでそれほど心配はいりませんが、永久歯がまだまだ生えないうちから乳歯を失うと、一本だけ大きく歯列からはみ出てしまうなど、歯並びに悪い影響を与えてしまうのです。

 

どうせ抜ける乳歯だからむし歯になっても構わないんじゃない?という考えはどうぞ捨てて下さい。お子さんの将来の歯並びや歯の健康を考え、乳歯の時代からむし歯にならないよう、しっかりとしたケアが必要です。

 

その上で歯列に心配がある場合は、早めに専門医へ相談しましょう。

 

お子さんの歯並びが気になる方はこちら

 

コラム監修者 にしお歯科院長 西尾裕司 大阪大学歯学部を卒業後、医療法人江坂歯科医院に勤務、翌年院長に就任する。その後、大阪府の歯科医院にて 5年間勤務。その後、平成18年に「千里中央 にしお歯科(大阪府豊中市)」を開院。