電話やメールで受け口に関する質問がよくきているので、このブログで受け口治療Q&Aをまとめてみました。
質問内容が増えた時点で随時更新していきます。

Q1.受け口は、自然に治るのでしょうか? 
 永久歯が生えるときに、自然に治ることがありますが、かなり少数例(5%未満)です。
①咬み合わせが反対になっている下の前歯が、5~6本ある。②逆の咬み合わせが深い。③近親に受け口の人がいる。 このような症例の場合、自然に治る可能性は、極めて少ないと考えて良いでしょう。 
  
Q2.永久歯がはえるまで、様子を見ましょうといわれたのですが・・・?
 「・・・そのままで大丈夫ですか?」というご質問を、よくききます。自然に治る場合もあります。しかし、それはかなり少数です。ご相談できる歯医者に診て貰い、セカンドオピニオン(意見)を求めることをお勧めします。私たちは、大半の方に、早期初期治療が必要であると考えています。ムーシールドやパナシールドのようなシンプルな装置で痛みもなく受け口が改善する症例がたくさんあります。
  
Q3.こどもが受け口なのですが、治した方が良いのでしょうか?
 受け口のままにしておくと、上あごの発達が不十分なまま体が大きくなっていきます。受け口の場合、前歯で大きな食材を噛みきることができないので、さらに上あごの成長が遅れてしまします。そして、サ行、タ行の発音をする場合に、特徴的な舌足らずのしゃべり方(レロレロ言葉)になります。食べ方が、ワニの様だ という様な特徴が現れることがあります。しゃべり方にも、食べ方にも問題が現れます。しかし、私たちが、治療を勧める第一の理由は、審美的な理由です。受け口特有の三日月型の顔立ちに、こども自身が劣等感を感じることがあります。心の負担を軽くし、生活の質の向上が目標です。
  
Q4.受け口は早く治した方が良いのでしょうか?
 噛み合わせを逆のままにしておくと、下あごが過成長しやすい状態が続きます。下あごが取り返しのつかないほど、大きくなってしまう前に、逆 の噛み合わせは治しておくべきです。早ければ早いほど、ご本人の負担は軽くて済むと思います。年齢が高くなる(12歳以上)と治療法の選択肢が狭くなります。装置の構造が複雑になったり、装置の数が増えたり、フェイスマスクやチンキャップという顔を覆うような装置が必要になることがあります。例えば、「過成長して 大きくなってしまった下顎骨を切断して縮める」という全身麻酔下の手術法も選択肢にあがってきます。受け口には早期治療が必要です。
  
Q5.どうして受け口になるのでしょうか?
 口には、多くの筋肉が整然と並び、お互いに連携しながら機能しています。舌は、代表的な筋肉の塊です。きれいな歯並びの人の舌は、嚥下(のみこむ)するときに上あごを押さえつけるようにぴったりと収まります。しかし、受け口の人は、上あごには舌がつきません。嚥下の都度、舌は下あごの前歯を前方に押します。従って、上あごは小さく、下あごは大きくなってしまうと考えられています。すなわち、口腔周囲の筋肉が正しく機能しないと不正咬合になるということです。
  
Q6.どうやって治すのでしょうか?
 筋機能のアンバランスが、不正咬合をつくります。バランスを整え、調和を取り戻せば、不正咬合は回復します。受け口の原因の一つは、舌が低い位置で機能していることです。ですから、治療目標が、まず、舌を挙上してあげることです。そのように、バランスを取り戻す器具が、機能的顎矯正装置”ムーシールドパナシールドアイスリー、プレオルソ“です。基本的には就寝中に使用します。取り外しできる器具ですから、うまく使えなかったり、諸条件によっては、期待する効果が得られないこともあります。ムーシールドなどで受け口が改善しない場合は、別の装置を使用します。
  
Q7.一度治したら、もう大丈夫なんでしょうか?
 ムーシールドなどの機能的顎矯正装置は、大抵の場合、およそ1年間を目標に治療します。一度治したら、「もう大丈夫」という人が大半です。しかし、成長がスパートする頃に再治療を必要とする場合があります。定期健診は重要です。女子は15~16才。男子は17~18才まであごの骨が成長します。その頃まで、定期健診を続けることが理想です。
  
Q8.受け口は遺伝しますか?
 受け口は、遺伝します。顔形はご両親に似ます。残念ながら、受け口の家系があります。しかし、早めに対処することで、かなり改善することができると考えています。いずれにせよ、遺伝のあるなしに関わらず、早めに受診することをお勧めします。

Q9.ムーシールドの治療費はいくらですか?
 当院では、ムーシールドやパナシールドを用いた第0期治療の矯正基本料金は¥40,000(税別)です。通院は月に1回程度です。治療期間は1年を目安としています。1年で受け口が改善しない場合は、第一期治療に移行します。

Q10.ムーシールドを使用して6ヶ月ですが、まだ受け口の状態です。来月福岡県から大阪に引っ越しするのですが、治療の引き継ぎをしてもらえるのでしょうか?
 引き継ぎすることはできます。前医の矯正初診時の資料があれば持参してください。ムーシールドではなくパナシールド、アイスリー、プレオルソⅢに装置を変更します。

Q11.パナシールドはどこの矯正歯科でも行っているのですか?
 パナシールドによる受け口治療は、『床矯正研究会』に入会している歯科医院でのみ可能です。パナシールドはムーシールドとは違い軟性材料で製作されているので、他の装置(たとえばリンガルアーチ)との併用が可能で効率よく治療が進みます。

Q12.チンキャップを使わずに受け口を治すことができますか?
 ほとんどの症例で、チンキャップやフェイスマスクを使用せずに受け口を改善することができます。チンキャップで大きな力をかけると顎関節に障害を起こしたり、オトガイ(顎の先)がくぼんだり、後頭部がくぼんだりする副作用が生じることがあります。夏休みの間に受け口を治したいような場合には、3~4週間のみチンキャップを利用した受け口急速改善療法を行うことがあります。