お子さんの歯並びの乱れや不正咬合を改善する装置にはいくつか種類があります。矯正治療中の間にずっと付けておく固定式の装置もあれば、必要に応じて取り外しができる装置もあります。その中で、マウスピース矯正や床矯正といった取り外し可能な装置は、学校にいる間も必ず付けておかなければいけないのでしょうか。

子どもの矯正治療で使用する装置について

ひとことでお子さんの矯正治療といっても、実に様々な種類があり、症状や年齢に応じた装置を使う必要があります。では子どもの矯正治療では、どのような装置を使用するのでしょうか。

・床矯正

取り外し式の装置で、主に永久歯列が正しい位置に並ぶよう顎の骨の成長を促すために使用します。

・インビザライン

インビザラインは、大人のためのマウスピース矯正と思われがちですが、お子さんの歯並びを整えるための小児用インビザラインがあります。大人同様、取り外し式の装置です。

・マルチブラケット矯正

歯の表面にブラケットを付け、そこへワイヤーを通して歯を動かす最も一般的な治療法です。固定式で、動的治療が終了するまで付けたまま過ごします。主に12歳以降で使用します。

・プレオルソ、ムーシールドなど

プレオルソやムーシールドといった装置は、取り外し式の装置で主に5~6歳くらいで使用し、受け口の早期改善を目的としています。家の中で使用します。

・クワッド・ヘリックス、リンガルアーチなど

こちらは6~12歳くらいまでに対応する矯正装置で、半固定式です。当院では3D矯正と呼んでおり、床矯正では対応できない歯並びや噛み合わせに適応する装置です。

取り外し式装置は必ず学校や幼稚園でも付けておかなければいけない?

マルチブラケット矯正やクワッド・ヘリックスなど固定式あるいは半固定式の装置の場合、自分で取り外すことはできないので、当然学校などでも装着したまま過ごします。

これに対し、インビザラインや床矯正といった取り外し式装置は食事や歯磨き時に取り外すため、不便を感じることはありません。しかし、装着時間を守らないと効果が半減してしまうのがデメリットのひとつです。インビザラインは1日20時間以上の装着が必要ですので、学校でも装着しておきます。床矯正は主に家の中で使用しますが、症例によっては学校でも装着することがあります。

それでも、学校生活において取り外しをしたほうが良い場面もあると思います。給食やお弁当はもちろんですが、それ以外に体育やリコーダーを使う音楽の授業などが、それに該当します。

体育の授業は、時としてアクシデントが起きることも十分想定できます。例えば転んで口元をぶつけた、跳び箱や鉄棒などで誤って転落して顔をぶつけた、ということが起きるかもしれません。その際、装置が入ったままだと装置の破損につながり、その影響で口の中をケガしてしまうことがあります。

マウスピース矯正は破損の可能性は低いですが、床矯正は樹脂でできているため、樹脂部分が破損したりワイヤー部分が折れてしまうことがあります。床矯正が破損してしまった場合、修理に実費がかかることもあります。

そのため、体育の授業では装置を取り外すことをお勧めします。またリコーダーの授業や部活で木管・金管楽器などを演奏する吹奏楽部の場合も、装置が入っていると不便を感じてしまうため取り外しておくことが望ましいでしょう。

このように、学校生活における装置の取り外しは臨機応変に行うと良いでしょう。

ただしできる限り長く装置を装着することが望ましいため、帰宅後はしっかりと装置を付けるよう、お子さんにお声掛けをしてあげてくださいね。

 

当院の床矯正について詳しい内容はこちら